唯一の愛をキミに【完】
由香里の家を出てトボトボ歩きながら律に電話をする。


律は俺が由香里の身代わりとして唯と付き合ってると知っているから、こちらもケジメとして報告した方がいいと思って。


数秒鳴らしたあとに律が『もしもし』と電話に出た。


「悪いな、こんな遅い時間に」


『いいけど、何かあった?』


「俺、唯と別れた」


そう告げると律はしばらく黙りこくった。


『ふぅん』


律は由香里のように叫んで驚くことはないと予想はしていたけれど、この返しには逆に俺の方が驚く。


「ふぅん、って。他に言うことはないのかよ」


『別に?他の女を好きな男なんだから、別れて当然じゃない』


そして唯と別れた経緯、由香里に告白したことを伝えると律は淡々とそれを聞いていた。


「唯のこと、よろしく頼む」


真面目な唯のことだから、俺と別れたくらいで唯一の共通点であるバイトを辞めらるなんてことはまずしないだろうから。
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