唯一の愛をキミに【完】

「唯ちゃん、これは違っ「あのっ…今バイト終わって帰るとこで…。みんなといるときに声かけちゃってごめんなさいっ。それじゃあ」


俺の言葉に被せるように唯ちゃんは早口でそう言いながら、笑顔を見せて俺に背を向けて歩き出した。


「ねぇ、哲くん。アタシたちも早く帰ろ？」


唯ちゃんの俺に向けた笑顔を見て何故かモヤモヤする。


これでいいじゃないか、付き合ってすぐに他の女と腕を組んでるとこなんか見たらいくら唯ちゃんでも俺に減滅して離れていたいくだろう。


彼女のためにもこれで、いいんだ…。


だけど、



「ねぇ、哲くん。アタシたちも帰ろうよ？」


「……から…せ」


「えっ、なぁに？」


唯ちゃんのあの笑顔は初めて会ったときとは全然違う、作り物の笑顔で。


「いいから、離せって言ってんだよ」


俺が睨むと女はビクッとして俺から腕を離した。