唯一の愛をキミに【完】

仁奈がニシシと笑いながら俺の方を見てくる。


「ねぇ。哲の新しい彼女ってもしかして唯ちゃん？」


「そうだよ」と呟いてから小さくため息を溢すと仁奈はやっぱりねと言わんばかりの目線を俺に送ってくる。


「おい、唯ちゃんって誰？仁奈の知ってる子？」


大志が興奮しながら仁奈に詰め寄る。


たぶん、俺本人に聞くより仁奈から聞いた方が情報が得られと判断したんだろう。


「律の店で働いてるバイトの子。日下唯ちゃんって子なんだけど、うちらと同い年でここの大学なんだよ！」


あぁ、もう情報がだだ漏れじゃねぇか。


今ここで仁奈を黙らせないと唯の情報を全部喋られるんじゃないかとヒヤリとする。


「おい、それ以上は…」


「すっごい良い子だよ！ずっと一途に哲に片思いしてたんだって！それから笑った顔が可愛いの！」


それ以上は話すな、そう言おうとしたときだった。