唯一の愛をキミに【完】
仁奈の語った「笑った顔が可愛いの!」、その言葉に思わず唯の笑顔が脳裏をよぎった。


あの暖かな木漏れ日のような唯の笑顔。


すると、充が目を開いて驚いた顔をしたあとすぐに吹き出すように笑った。


「へぇ、哲にそんな顔をさせる子、会ってみたいな」


「は?どんな顔だよ?」


「今お前、自分の顔鏡で見てみ?めっちゃ穏やかな顔してたから」


充にそんなことを言われて途端に恥ずかしくなった。


「良かったな」


しばらくニヤニヤしていた充が真面目トーンで呟いた。


「なにが?」


「いや。今まで哲、彼女が出来ても淡々としてたっつーか、感情がないっつーか…。とりあえず、良い子と出会えたんだなって思ったから!」


由香里の…好きな奴の彼氏である充にそんなこと言われて複雑な気持ちになったけど、


それでも心の中のどこかで同意している自分もいる。


それは相手が唯だからだろうな。


「あぁ、良かったよ」


唯と出会えて良かったと心から思えるよ。


それがウソの彼女でも、この気持ちはホントだから。
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