唯一の愛をキミに【完】
バイトが終わった唯とふたりで喫茶店を後にして駅前の通りを歩く。


「上原くん、待っててくれてありがとう」


「うん。唯に渡したいものがあったからね」


「渡したいもの?」


唯がきょとんとした顔でこちらを見つめる。


そして鞄の中から最近隣街に出来たと話題の大型水族館のチケットを二枚出して唯に見せた。


「今度の休みに行かない?」


誰かをデートに誘うって実はすごく久しぶりのことで、というか由香里がまだ充と付き合う前に何回か誘ったことがあったけれどそれ以来かもしれない。


「わたし…と…?」


「そう。唯と俺と。どう?」


唯は信じられないような顔をして驚いていた。


「唯、俺とデートしよう」


そう言って笑うと唯は「はっ、はい」と噛みながら顔を真っ赤にしていた。
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