唯一の愛をキミに【完】
「じゃあ一枚、お願いします」


そう言うと係りの人の案内で大水槽の前に唯とふたりで並んで立つ。


カメラを構えたスタッフが「こっち見てくださいねぇ」と言ったけど何故かシャッターは押さずに苦笑いを浮かべていた。


ん?と思ったけど、その理由がすぐにわかった。


「彼女さん、少し緊張してるのかな?リラックスリラックス。もうちょっとお互い近付きましょうか」


唯の方を見るとカチコチに固まっていて、その表情が面白くて思わず笑いが吹き出る。


「ふっ、唯、大丈夫?」


「ご、ごめんなさいっ。こういうの初めてだから緊張しちゃって…」


「いつも通りでいいんだよ」


そう言ってリラックスさせようとしたけど唯の場合、いつも通りも結構ガチガチに緊張するタイプだからな。
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