唯一の愛をキミに【完】
依子さんからそう言われて数日経ったある日、俺は課題で使う参考書を買いに駅裏の本屋にやってきた。


何冊か買い本屋を出たときにブーブーとポケットから携帯が振動しながら唸った。


「ニナ」と画面に表示されている名前を見て一瞬出るのを躊躇う。


グループ内の賑やか担当の仁奈はとにかく煩い。それは電話口でも変わらずで。


でもでなかったら更に煩いだろうと小さくため息をつきながら通話ボタンを押した。


「もしもし?」


『あっ、もしもし?哲?今なにしてんの?』


「駅裏の本屋で買い物。なんで?」


『ほんと?じゃあ今から律の店に来てよ』


「はぁ?今からって…」


また唐突に物事を言ってくるのは仁奈のクセ。


『いいからいいから!会わせたい子がいるの!』


会わせたい子?


またか、と思いながら心が急激に冷めるのがわかる。


仁奈や律は俺が一人の女に絞らずにフラフラとしているのを良く思っていない。そうして時々誰かを紹介してくるんだ。
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