唯一の愛をキミに【完】
本気になれず適当に遊んでは別れての繰り返し。


本気になれる訳がない。


由香里以上に好きになれるヤツなんていない。それがどんなに性格の良い女だって、どんなに美人な女だって。


「たっく、おまえらは人様の休日を邪魔しやがって」


喫茶店の扉を開けるとカウンターに座っている仁奈とカウンター越しにいる律。


それから数組の客に…ん?初めてみるスタッフの女の子。


Tシャツにジーパン、黒いエプロンをかけている小柄で黒い髪を後ろで束ねてるだけのハッキリ言ってパッとしないおとなしそうな地味な子だった。


「いいから、そこ座って。唯ちゃん、おしぼりとお冷、お願い」


「あっ、はい」


律から唯ちゃんと呼ばれたスタッフは耳まで顔を真っ赤にして「どうぞ」と小さな声を出してそっと俺の前に差し出した。


「ありがとう」


そう言っておしぼりを受け取ると彼女は嬉しそうに微笑んだ。
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