正しい君の忘れ方
私の降りる駅について
伊藤くんに"じゃあね"と手を振ると
眠たそうに手を振り返してくれた。
家に着くとお母さんがリビングで
机いっぱいに書類をぶん投げて
パソコンと睨み合っている。
母は会社で会計を任されているので
これはいつもの光景だ。
「ただいま。まだ起きてたの」
「あ〜おかえり。LINE見てくれた?」
嫌な予感がしてケータイに目を落とす。
母《唯!ひき肉買ってきて!!》
やはり。家に帰ってしてしまったので
駅の下のスーパーに戻るのは
かなりめんどくさかった。
でも明日の私のお弁当のおかずかな…
と思い私は90度回転して
重い足を動かした。