正しい君の忘れ方

それは見覚えのない名前だった。

「星野さん?」

内容はそれだけだった。

私は怖くなってしばらく
未読無視をしていた。

商品をレジに通す音が時々
鼓動とリンクする。

いつもはもらわないレジ袋をもらい
早々とスーパーを出ると
ケータイを睨んだ。

LINEの名前は下の名前だし
相手はわたしが
星野唯であることを知っているんだ。

そう思って

「そうですけど…すいません。どちら様ですか?」

と慎重に返した。
カシャンとケータイを閉じると
すぐに返信が来た。

「合ってた。よかった。伊藤です。バイトの」

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