花盗人も罪になる
甘く優しい日曜日



日曜日。

紫恵は逸樹の温かい腕の中で目覚めた。

逸樹はまだ寝息をたてている。

寝顔もかわいいなどと思いながら、紫恵は逸樹の唇にそっとキスをした。


ゆうべ家に着いた後、二人はしばらくリビングで抱きしめ合っていた。

ただ抱きしめ合っているだけで、お互いの体温や体に響いてくる鼓動に安心した。

紫恵は逸樹の胸に顔をうずめて『他に何もなくても、いっくんがいてくれるだけで幸せ』と涙を流した。

逸樹は紫恵の髪を優しく撫でながら『しーちゃんがいるから俺は生きていけるんだよ』と言った。

他の誰でもなく、逸樹は紫恵を、紫恵は逸樹を深く愛し、必要としている。

特別なことのない平穏な日常は、二人に幸せを与えてくれる。

これ以上の幸せがどこにあるだろう?

つらいことも悲しいことも一緒に乗り越えてきた温かい手を離したくないと、紫恵は改めて思った。




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