花盗人も罪になる
女の幸せ
同窓会から4か月が過ぎたある日曜日。
紫恵、圭、春菜は綾乃の家にお邪魔していた。
友達が遊びに来ると言ったら綾乃の夫が気を利かせて、子供たちを実家に連れて行ってくれたそうだ。
綾乃の手料理を食べながら、4人はゆっくりおしゃべりを楽しむ。
「同窓会の後、結局二次会には行ったの?」
綾乃が尋ねると、春菜が顔をしかめた。
「行くには行ったけど……紫恵、なんにも言わないで帰っちゃうんだもんなー」
「あ……ごめん。それにはちょっとわけがあって……」
「私たち心配したんだから、もちろん話してくれるよね?」
春菜の威圧感に負けて、紫恵は同窓会の日に起こった松山とのことや、どこかへ連れて行かれそうになっていたところを、迎えに来た逸樹に助けられたことを話した。
「わー、松山サイテー……」
さすがの綾乃も松山の勝手な言動には呆れているようだ。
「あいつ、二次会で実穂のこと口説いてお持ち帰りしたみたいだけど?」
春菜がパスタをフォークに巻き付けながらさらりと言った。
「誰に聞いたの?」
「実穂から聞いた。二次会の途中で二人で抜けてホテル行ったって。あれから松山と付き合ってるんだってさ」
紫恵が逸樹に連れられて姿を消した後、松山は性懲りもなくそんなことをしていたらしい。
何がなんでも浮気相手を探そうと、よほど気合いを入れて同窓会に参加していたのか。
あの時逸樹が助けに来てくれて良かったと紫恵は改めて思った。