花盗人も罪になる
男女平等を謳うこんな時代になっても“子供を産まなければ一人前の女じゃない”などと言う女性を蔑視した男性もいる。

女性として全否定されたようなこの胸の痛みは経験した女性にしかわからない。

女性を蔑視した男性も、女性である母親から生まれた。

母親に産んでもらったことを当たり前だと思っているから、そんなひどいことが言えるのかもしれない。

女性は子供を産む機械じゃない。

男性がいないと子供ができないのも事実。

けれど子供が産めるのは女性だけ。

男性と女性のどちらが偉いかなんて“卵と鶏、どっちが先か?”みたいな、堂々巡りになるしかない話だ。

男性と女性のどちらが欠けても子供はできないし、生まれない。

だけど男女両方がそろっていても、子供ができないこともある。


どちらが悪いと責めるのは簡単なことだけど、子供のできにくい体質の紫恵を、逸樹は一度も責めなかった。

だから紫恵は余計に、逸樹に我が子を抱かせてあげたいと今でも思う。

けれど不妊治療をして妊娠しても、またダメだったらと思うと、不妊治療の再開には踏み切れない。

自然な形で子供が授かれば、それが一番だと逸樹は言う。

柊子は、やるだけのことはやったし、それでダメだったのだから子供はもうあきらめたと言っていた。


夫の子供を産んで育てて、子供への文句や夫への愚痴をこぼす毎日と、子供をあきらめ夫婦二人きりで過ごす毎日。


どちらの方が幸せだろう?


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