花盗人も罪になる
いつも仕事で忙しくてあまり一緒にいられなくても、幼い希望にとっては母親の心咲が一番なのは当たり前なのかもしれない。
いつか希望が逸樹と紫恵の手を必要としなくなった時、きっと心に穴が空いたような気持ちになるのだろう。
日に日にしっかりしていく希望を見ていると、もう少しゆっくり大きくなってくれたらいいのにと思ってしまう。
本当の意味で紫恵と夫婦二人きりになるのは、まだまだ先のことであって欲しいと逸樹は思った。
翌日の朝、逸樹はスーツの袖口に小さなシミがついていることに気付いた。
昼食を食べた時に、ソースか何かがついてしまったのかもしれない。
「しーちゃん、このスーツ、クリーニングに出しといてくれる?袖口汚しちゃったみたいなんだ」
「うん、そこに置いといて」
逸樹はクローゼットから別のスーツを取り出して、出勤のために身支度を整える。
逸樹が玄関で靴を履くと、紫恵が鞄を差し出した。
「今日はお姉ちゃん早く帰れそうだって。いっくんが帰ってくる頃には、ののちゃんもういないかも」
「そうか……。じゃあしーちゃんが寂しくないように、できるだけ早く帰ってくるよ。二人でのんびりしよ」
「うん、待ってる」
逸樹と紫恵はいつものように、行ってきますと行ってらっしゃいのキスをした。
今日は定時で帰れるといいなと思いながら、逸樹は駅までの道のりを歩いた。
いつか希望が逸樹と紫恵の手を必要としなくなった時、きっと心に穴が空いたような気持ちになるのだろう。
日に日にしっかりしていく希望を見ていると、もう少しゆっくり大きくなってくれたらいいのにと思ってしまう。
本当の意味で紫恵と夫婦二人きりになるのは、まだまだ先のことであって欲しいと逸樹は思った。
翌日の朝、逸樹はスーツの袖口に小さなシミがついていることに気付いた。
昼食を食べた時に、ソースか何かがついてしまったのかもしれない。
「しーちゃん、このスーツ、クリーニングに出しといてくれる?袖口汚しちゃったみたいなんだ」
「うん、そこに置いといて」
逸樹はクローゼットから別のスーツを取り出して、出勤のために身支度を整える。
逸樹が玄関で靴を履くと、紫恵が鞄を差し出した。
「今日はお姉ちゃん早く帰れそうだって。いっくんが帰ってくる頃には、ののちゃんもういないかも」
「そうか……。じゃあしーちゃんが寂しくないように、できるだけ早く帰ってくるよ。二人でのんびりしよ」
「うん、待ってる」
逸樹と紫恵はいつものように、行ってきますと行ってらっしゃいのキスをした。
今日は定時で帰れるといいなと思いながら、逸樹は駅までの道のりを歩いた。