花盗人も罪になる
「出張って何日間?」

「月曜の朝に出発して、帰ってくるのは金曜の夜だって。4泊5日って、修学旅行じゃあるまいし……」

逸樹は紫恵を抱きしめて頬擦りをした。

「俺、そんなにしーちゃんに会えないと寂しくて死んじゃうかも」

自分にだけは素直に甘えてくれる逸樹をかわいいと紫恵は思う。

「私も寂しいな……。ねぇいっくん、出張中、毎晩電話してくれる?」

「じゃあ夜は俺が電話するから、朝はしーちゃんが電話して」

「うん、いいよ。ちゃんと起こしてあげる」

「やっぱりしーちゃんのおはようとおやすみは毎日聞きたいもんな」

逸樹のその言葉は、紫恵の心を温かくしてくれた。

離れていても二人は夫婦だと言ってもらったような気がする。

きっと不安になることなんてない。

紫恵が胸にギュッとしがみつくと、逸樹は紫恵を抱き寄せて甘いキスをした。

長いキスの後、逸樹は額同士をくっつけて甘えた目で紫恵の目を覗き込んだ。

「しーちゃん、愛してる。来週は離ればなれになるし……今日はもっともっと、イチャイチャしよ」

「うん……私もいっくんともっとイチャイチャしたいな……」

ベッドの中で二人きりの夜は更けていく。

紫恵は逸樹に身体中くまなく愛されて、熱い吐息と甘い声をもらした。

二人は夜更けまでお互いを深く求め合って、愛する人に愛されている喜びをかみしめた。




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