花盗人も罪になる
公園から家に帰りついて間もなくすると雨足が強くなった。

香織はベッドに寝転んで窓を叩く雨の音を聞きながら、スマホを握りしめてため息をついた。

あの胸の高鳴りはなんだろう?

上司としていい人だとは思うが、逸樹が好きとか、付き合いたいなんて思ったことは一度もない。

ましてや香織は間違いなく大輔が好きだし、現実的に結婚を考えるなら相手は大輔だと思う。

大輔とのことが不安過ぎて、おかしくなってしまったのか?

既婚者を好きになるなんて有り得ないと思っているはずなのに、どうしてこんなに逸樹にドキドキしているのだろう?

会社で毎日顔を会わせるのに、普通に接することができるだろうかと少し不安になる。

何がなんでも会社では平常心を保っていようと香織は思った。





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