初めての相手は無愛想上司
『何がいい機会ーー』
身を乗り出したのが悪かったのか、
私の唇はまた小山課長の唇と合わさる
慌てて引こうとすると
小山課長の手が私の頬を覆う
嫌か?
今まで聞いたことがない甘い声
い、嫌だなんて…言えない
言えないでいると
小山課長の顔が近づいてくる
嫌、ではない
そう思ったら抵抗する気も失せた
軽く触れたと思ったら離れ
けど、またすぐ触れてくる
上唇、下唇に甘噛みするような、
食べられちゃうんじゃないかと思った
「息を止めるな」
『…だって…』
いつ息継ぎするのかわからない
そうだった、と
何かを思い出したようだ
少し離れて、嬉しそうに笑う
小山課長がこんなに笑うの…初めて見たかもしれない
私の心臓はバクバクなっている
「お前は恋愛初心者だった」
思い出したのはそれか、
初心者で悪かったですね…