初めての相手は無愛想上司


また明日ね、と蔵田課長と伊藤さんと別れた
二人は手を繋ぎながら
楽しそうに帰る姿


なんか、羨ましいな…
恋人と手を繋ぐって
憧れみたいなものを
まだまだ恋に諦める前に
思い描いていた願望みたいなものだ


「行くぞ」


そんな願望を叶えてくれなさそうな冷たい小山課長の声
何が気に入らないのか
全くわからない

助手席に乗り車は走り出す
高熱で寝込んでいたのか?と
疑ってしまうくらい
体調は良くなった
だから、明日からは仕事に行く

小山課長のお世話になるのは
今日で終わりだ
明日からは自分の部屋


そう考えたら
寂しい、と思うけど
こればかりは仕方がない

マンションへ向かうとばかり思っていたが、少し違う道な気がする


不安になり小山課長を見れば
寄りたいところがある、と
けどそれ以外は何も話してくれない

やはりまだ、怒っているのだろう
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