初めての相手は無愛想上司


「次の連休、出掛けるぞ」


湯船に浸かりながら会話をする
小山課長の足の間に収まり
身体を預ける私…安心できる場所だ


『どこに行くんですか?』


「小夜の親父さんの墓」


預けていた身体を起こし
小山課長の方を向く


「婆さんの墓は見つけられなかった。だからせめて、親父さんにはちゃんと挨拶がしたい」


確かに、両親のことは伝えていたが
小山課長から言われたのは初めてだ


『小山課長…、うっ、…』


「ったく、小夜はよく泣くな」


私を抱きしめてくれる小山課長
泣かせるのは貴方ですよ

嬉しいことばかり、言ってくれるし
行動してくれる


「ちゃんと挨拶したら、俺の親に会ってくれるか?」


あたりまえじゃないですかっ
嬉しくて、幸せすぎて
初めて私からキスをした
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