初めての相手は無愛想上司
船から降り、駐車場に停めていた
小山課長の車に乗り込む
今日は予約してある
温泉宿に泊まることにしている
島を離れてから
私は無言だった
これで良かったのか、と
遺骨や位牌を私があずかり
いつでも私が行ける距離の霊園に
お願いすることはできなかっただろうか…
ちゃんと、毎日手を合わせたい
けど、お父さんが選んだ故郷
それを勝手に移動するなんて出来ない
「また、会いに行こう」
やっぱり、私が愛した人は
私の気持ちを一番に理解してくれる
『はい、ありがとうございます』
車の中だけど、二人だけの空間
私が少しだけ近づくと
小山課長ま近づいてきてくれる
ゆっくり合わさる唇
離れたくない、と小山課長の袖を握る
何も言わず、私の頬に温かい手が触れた
離さないと言われてるみたいに
また唇が触れた