初めての相手は無愛想上司


温泉宿に着き
食事を済ませ
お風呂も済ませた


窓から見える川辺の茂みが
点々と輝いていた
私の手にはお父さんが笑っている写真


「ホタルだな」


いつお風呂から帰ってきたのか
浴衣を着て、乾ききっていない髪が
なんだか幼く見えた


『小山課長』


私の問いに返事はせず
小山課長は私を包み込んでくれた
言葉なんていらない


無性に人肌が恋しくなっていた
それをどう伝えたらいいか
そんなことわからずにいた


「明日、帰るぞ」


『…え、けど小山課長のご実家に行く予定ではなかったですか?』


連休だから
お父さんのお墓詣りが終わったら
そのまま小山課長の実家へ行こうと
話したばかりだった

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