初めての相手は無愛想上司
盗み聞き、なんて失礼だ
気になるけど、ダメだ
そう思いその場を離れようとした
「変わってないですね、サヨさん」
小山課長と話をしている
きれいな女性の名前は…サヨ
私と同じ名前だ
それを聞いた瞬間、
身体が鉛のように感じる
「そう?私だって、あの頃から比べたら成長したのよ。今思えば、あの頃かなり小山くんに迷惑ばかりかけていたわ」
「…そんなこと、ないです。サヨさんと一緒にいた時間は何よりも大切な時間でしたから」
鉛のような身体に加え
銅器で頭を殴られたような感覚だ
一緒にいた時間って、なに?
昔を懐かしんでるの?
けど、胸騒ぎは治らない
「そうだ、小山くん。近いうちにご飯でもどう?日中は忙しいし…彼女さんに見られたら、面倒でしょ?」