初めての相手は無愛想上司
小山課長はメールの通り
遅くに帰ってきた
スーツを脱ぐために寝室に入ってきた
いつもなら
おかえりなさい、というけど
今日はそんな気分にはなれない
「小夜、大丈夫か?」
私の頭に触れる手
前はあんなに大好きで安心していたが
今は疑惑にしか思えない
私が寝ているのだと思った小山課長は
静かに寝室を出て行った
パタンとドアがしまった音
それと共に我慢していたモノが溢れ出した
見てしまった
気を紛らわすために
掃除に洗濯を始めた私
洗濯をしようと
念のためにポケットを確認した
いつも何も入っていないのはわかっている
小山課長の性格だから
けど今日に限って入っていたのだ
名刺と手書きの電話番号
【櫻庭 沙夜】
これは何かの悪戯ですか?