初めての相手は無愛想上司


小山課長はメールの通り
遅くに帰ってきた

スーツを脱ぐために寝室に入ってきた
いつもなら
おかえりなさい、というけど
今日はそんな気分にはなれない


「小夜、大丈夫か?」


私の頭に触れる手
前はあんなに大好きで安心していたが
今は疑惑にしか思えない


私が寝ているのだと思った小山課長は
静かに寝室を出て行った

パタンとドアがしまった音
それと共に我慢していたモノが溢れ出した



見てしまった
気を紛らわすために
掃除に洗濯を始めた私

洗濯をしようと
念のためにポケットを確認した
いつも何も入っていないのはわかっている
小山課長の性格だから

けど今日に限って入っていたのだ
名刺と手書きの電話番号


【櫻庭 沙夜】


これは何かの悪戯ですか?

< 176 / 222 >

この作品をシェア

pagetop