初めての相手は無愛想上司
今日、初めて
世界で1組しかない指輪をはめる
私達の結婚式だ
白い砂浜、エメラルドグリーンの海
孤島にあるホテル
隣接されている教会
私達だけの時間だ
「小夜さん、」
控え室にいる私を訪ねてきたのは
小山課長の両親だ
「まあ、綺麗だわ」
季節は秋
これから寒くなるというのに
沖縄の気温はまだまだ高い
その気候に合う黒の光沢のロングドレスを着て、髪をアップにしているお母さん
『お母さんが決めてくれたドレスで良かったです』
小山課長のお母さんは衣装合わせの時は必ず付き添ってくれた
本来なら私の母がその役目をするんだろう
本当に申し訳ない気持ちと
感謝の気持ちでいっぱいだ
「似合っているわ。これならあの子も気に入るわ!これならハネムーンベイビーかもしれないわね」
何とも苦笑いをしてしまう言葉だ
小山課長のお父さんは
相変わらずのニコニコ顔だ