初めての相手は無愛想上司
「小夜ちゃん」
突然呼ばれて振り返れば見覚えがある顔
60代の白髪交じりの男性
『猿渡先生!』
最後に会ったのは私が20歳になった時
父の残りの遺産を受け取った時だ
猿渡先生は父の古い友人で
父が信頼し私の事を託した弁護士さん
「結婚、おめでとう」
『ありがとうございます!けど、どうして猿渡先生が?』
最後に会ってから、一度も会ってはいない
たまに近況報告といい
猿渡先生から連絡が来ていたけど
ここ半年は来ていなかった
「小山さんから連絡を貰ってね」
小山課長には驚かされてばかりだ
あの時、かなりお世話になった猿渡先生に結婚報告だけはしようと
メールで報告をしたが
返信がなかったため
また仕事で海外へ行っているのだろうと思っていた