初めての相手は無愛想上司


誰もが憧れるであろう秘書課からの降格
伊藤さんは秘書課に入って1年経った頃
大事な取引先の社長さんに
誤ってコーヒーを…ぶっ掛けた

どうやら、買い換えたばかりのヒールが高級絨毯に合わなかったらしく
足がもつれてしまった


取引先の社長さんは、ご立腹で
うちの社長や重役が何度も謝り
どうにか取引を続けてもらえた


そんな秘書を置いておけない、と
伊藤さんは異動になった
解雇する訳にもいかず、
誰でもできる仕事だろうと、資料課へ


初めはショックで沈んでいたが
定時で帰れて、無駄な接客もいらないと
今は喜んでいる


そりゃ、そうだ
秘書課は自由な時間がない
休みの日でも急な接待があれば
下っ端秘書でも駆り出される


資料課は定時で帰れる
接待もない、要らぬ接客もない

殆ど人が来ない
ある程度の資料はパソコンで見れる
もっと詳しく観たい、知りたい人しか
資料課へは来ない…小山課長のように

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