初めての相手は無愛想上司
何も聞かなかったかのように
小山課長はエレベーターに乗った
えっ?と思い
手に握っている鍵を握りしめる
『鍵をお返しします』
そう言って、握りしめた手を解放した
腕を伸ばした手、
早く取ってよ、と思いながら待つ
一つため息をつき
小山課長も手を伸ばした
良かった、と安堵した瞬間
手首を握られ
箱の中へと引きずり込まれた
きゃっ、と声にならない言葉を発し
小山課長は私を壁へと押し付けた
ガタン、と扉が閉まる音で目を開くと
目の前に小山課長の顔がある
手首は掴まれたまま
背中は壁
これは……ヤバイ状況?
「鍵は持っていろと言っただろ」
小山課長の息がかかる
けど、それは顔ではなく耳だ
身体がビクンと反応してしまった
その反応に、ほう、と
嬉しそうな言い方
自分が何に反応したのか
理解できていない私に
再び襲いかかってきた