初めての相手は無愛想上司


「またな」


そう言って別れてから2週間後
祖母の家に一本の電話が入った


それは警察からだった
「小夜、落ち着いて聞きなさい」と
切羽詰まった顔では祖母は話してくれた


私に会いに来てくれた数時間前に
父は祖母の家に来ていたという

母が再婚をしたこと
そして私が養子縁組をされていたこと

父はつい最近、知ったらしく
慌てて祖母の家に確認しに来た

そして、今でも養育費を払い続けているという父の言葉に
祖母は頭を下げた



「桜庭さんは、自分の命が長くはないってわかっていたんだよ。自分の財産全てを娘である小夜に渡したいって…」


そして知らぬ間にまた
手続きをされていた養子縁組
私は祖母の子供から
また父の子供に戻っていた

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