初めての相手は無愛想上司
父を見つけてくれたのは
遺産相続の相談をしていた弁護士さん
父とは古い友人で
母との結婚式にも参加したという
「遺言により、桜庭くんの財産は全て小夜さん、あなたのものになります。…が、貴方はまだ未成年だ。これも遺言ですが、成人になるまでお渡しできません」
未成年の私は
何をしても親権者の同意が必要になる
父は財産を持った私に
母が近寄ってくることをわかっていたのだ
父の思惑通り
父が亡くなったことを知った母は
久しぶりに私の前に現れた
「桜庭の財産、よこしなさい」
久しぶり、なんて言葉はない
大きくなったわね、なんていう人ではない
母の浪費癖は少しはマシになったに見えたが、私には関係ない話
再婚相手と離婚したのかと思ったが
指輪をしていたから、違うのだろう