初めての相手は無愛想上司


「俺はお前が居てくれたら、それでいい」



そう言ってくれたのは
送ってもらった車の中だ

胸がいっぱいだ、
食事を終え、片付けをし
帰ろうとすれば
送る、と言い
また車に乗せられた


歩いたら20分くらいで着く距離なのに、と思うが断る気力もなかった

アパートの前に停車した時
言い忘れた、と言葉を続け言われたのだ

えっ?と顔を上げ小山課長を見れば
私をしっかり見ていた



「おやすみ、また連絡する」



ゆっくり伸びた小山課長の腕は
私の頭を引き寄せ
おでこにチュッ、と
柔らかいモノを押し当てた


車を見送った後
触れられたおでこが熱くて
手を当ててしまう


信じられない…
それしか頭にない


ありえないと思っていた
気まぐれとか、暇つぶしなんじゃないかって思っていたけど
小山課長は…本気なんだ

そう思ったらおでこだけじゃなく
顔も熱くなっていた
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