初めての相手は無愛想上司


グイッと引き寄せられた私の身体
小山課長の体温を感じられる距離
どうしていいかわからず身体が硬直する

けど、そんなの御構い無しに
小山課長は話し始めた



「あいつは、平野詩織。お前より年下…だったかな?あいつは長年片思いをしてる、それは昔から知っていた。相手は俺の兄貴だ」


えっ?と小山課長の方へ向けば
思った以上に距離が近くて

あわ、わ、と距離を置こうとすれば
肩に回されて当たる小山課長の手が
そうはさせないとチカラがこもる


手に持っていたタオルを私から取り
テーブルへと置いた


「兄貴、見合いしたんだ。それが詩織の耳にも入ったみたいで、それで」



そこに私が登場して
あの場面を見てしまったのか…
なんだかタイミングが悪いというか、



「で、お前はなんで泣いていたわけ?」



もう、話は終わりかよと
思ったが、まさかそれを振られると
思ってもみなく、急に恥ずかしくなる
< 79 / 222 >

この作品をシェア

pagetop