初めての相手は無愛想上司



「…、……っ、…ば、桜庭」



ふぇ?

いつの間にか眠っていた私
目の前には
真顔の小山課長…しかも至近距離だ


「こんなところで寝ていたら、せっかく良くなったものもぶり返すだろう」


ごめんなさい、というつもりで
身体をソファから起こすと
言葉を発する前に
小山課長の腕の中に収まっている


あれ、…ど、ど、どうしよう
平音だった心臓の音が激しくなる
どうにか離れないと、と
身体をもぞもぞするが
全く離そうとしてくれない


「良かった…、」


小さな声だったけど
ハッキリ聞こえた


もしかして、心配かけてしまった?
昨夜はあれだけ熱を出していたんだ
けろっと治る方が不思議だ


『…ごめん、な、さい』


そう言うと、小山課長の腕は
更に私を抱きしめる

苦しいよ…
本当に…胸が苦しい…
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