ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢
「じゃあ。決まったら教えて。俺のアドレス、わかるだろ?」
「うん。前に教えてもらったから。」
「じゃあ。待ってるから。ほら、もう着く。」
前を向くと、あたしの家の屋根が見えた。
なんか、さみしいな。
「よしっ、着いた。下ろすよ。気を付けけてな。」
「ありがとう。」
家の壁に寄りかかりながら、玄関まで歩こうとすると、「あ。」と樹が言葉を零した。
「危ないから。手伝うよ。」
「え!いいよ。そこまでは、悪いし。」
「いいって、余計に悪くなったら大変だろ。」
「ありがとう。」
樹に支えてもらいなんとか玄関までたどり着けた、大変じゃなくてドキドキしすぎて、心臓がもう持たないくらい。
「本当にありがとう。バイバイ。」
「じゃあな。」
パタン、と扉が閉まり樹の姿は見えなくなった。
今日はもう、もったいないくらい幸せだった。