ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢


「じゃあ。決まったら教えて。俺のアドレス、わかるだろ?」

「うん。前に教えてもらったから。」


「じゃあ。待ってるから。ほら、もう着く。」


前を向くと、あたしの家の屋根が見えた。


なんか、さみしいな。


「よしっ、着いた。下ろすよ。気を付けけてな。」

「ありがとう。」


家の壁に寄りかかりながら、玄関まで歩こうとすると、「あ。」と樹が言葉を零した。


「危ないから。手伝うよ。」

「え!いいよ。そこまでは、悪いし。」


「いいって、余計に悪くなったら大変だろ。」

「ありがとう。」


樹に支えてもらいなんとか玄関までたどり着けた、大変じゃなくてドキドキしすぎて、心臓がもう持たないくらい。

「本当にありがとう。バイバイ。」


「じゃあな。」


パタン、と扉が閉まり樹の姿は見えなくなった。


今日はもう、もったいないくらい幸せだった。


< 12 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop