ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢
「ただいま~。」
樹が帰った後、何とかリビングまで歩いていき椅子に腰かけた。
「おかえり。足どうしたの?」
「やっぱり、気付く?さっきコケて、グギってなった。」
「気付くわよ。見た目からして変な歩き方してたもの。」
「だって、上手く歩けないんだもん。あ、シップどこにあるの?」
「確か、そこの引き出しにあると思うけど。」
お母さんに言われた引出を開け、中を探す。
あ、あったあった。
「あったよ。ありがとうお母さん。」
「は~い。」
シップを片手に持ち、階段を上る。
「冷たいな。当たり前だけど。」
自室に入り、ベットに座りこんでシップを張る。
そういえば、シップを張るの久しぶりだな。
そんなことを思っていた時、ふと音葉から来たメッセージを思い出した。
そうだ。樹の事言わなくちゃ。
ん。待って。
ここで樹の事言ったら、あたしがいいよって言ってるみたいになるよね。
いや、そのことよりも咲梨は知ってるからいいとして、あたしが樹のこと好きだって分かっちゃうんじゃないかな。
う~ん、と考えた結果、何も思い浮かばず結局杏奈達に連絡することにした。
携帯を開き、無料メッセージアプリを開いて4人でやっているグループチャットの画面を探し出す。
映し出された画面には過去の会話や、さっき音葉からきたメッセージが表示されていた。
「あたし、さっき樹と帰ってたんだけど音葉からのメッセージ見られちゃって、樹もかくれんぼやりたいって。」
:4時23分
『かくれんぼって、ひとりかくれんぼ?てか、燈那乃、樹くんと帰ってたの!!?』
:4時23分
杏奈からは、すぐに返信が来た。
「帰る人がいないから、あたしと帰っただけだと思う。ひとりかくれんぼやりたいらしいよ。なんか、興味あるとか言ってた。あと、女子だけじゃ危ないだろって。」
:4時24分
さっき、樹が言ってた言葉を思い出しながら文章を打つ。