ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢
「全然大丈夫だよ。」
あたしと咲梨の席は隣。
だから、小さな声でも十分に聴きとれる。
「樹も入るんでしょ。だったら安心だな。」
「あはは。そうだね~。」
咲梨はあたしが樹のこと好きって知ってる。
なんか、恥ずかしいな。
でも、確かに樹がいるっていうのは心強い。
けど、何だろう。
心に靄がかかったみたい。
杏奈も樹が好きかもしれないから?
琴乃ちゃんが、樹の彼女かもしれないから?
わからない。
自分のことのはずなのに。
あたしは一体何がしたいんだろ。
心にこんな思いを残したまま、あたしは一限目の授業を受けた。