ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢
『琴乃、来れなくなったって。』
12:48
いまはお昼休み。
お弁当を食べ終えたあたしは、なんとなく携帯を開いていた。
そして、いまから10分前に来ていたこのメッセージ。
発信源は樹。
そっか・・・琴乃ちゃん、来れなくなったんだ・・・。
やっぱり、危険だから?
琴乃ちゃんに何かあったらいやだから?
そういえばこの前、風のうわさで聞いたことがあった。
学校が終わった放課後。
樹と琴乃ちゃんがふたりで帰っていたってこと。
よく、樹の家に琴乃ちゃんは週に3回は遊びに行ってるらしい。
ふたりは付き合ってるんじゃないかって、一部ではそう言われている。
カッコよくて、成績優秀、優しい樹。
可愛くて、誰にも好かれてる琴乃ちゃん。
この有名なふたりが付き合っていても、確かに不思議じゃない。
じゃあ、なんで樹はかくれんぼをやりたがっているの?
あたしが幼馴染だから?
琴乃ちゃんがいないのに、どうして?
考えれば考えるほど、いろんなことが分からなくなってく。
けど、せっかく連絡してくれたんだから、返事はしなくちゃね。
「了解。」
そう文章を送って、形態の電源を切った。