ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢
「帰るやつがいないから、燈那乃と帰ろうと思って。」
その言葉に、赤くなるあたしの顔。
「あ、ありがとうございます。」
ダメ。こんなの見られたら、樹に気持ちがばれちゃう。
「じゃ、帰るか。」
「うん!」
「あ!樹。忘れ物しちゃった。下駄箱で待ってて。」
「了解。」
こんな時に忘れ物するなんて!
あれ?違う。
多分、樹と帰るから忘れ物したんだ。
「はぁ。はぁ。」
なんで走ってるんだろ、あたし。
下駄箱までもう少し。
いったん止まり、息を整える。
樹。ちゃんと待っててくれてるかな?
下駄箱に向かって歩きだそうとした、その時。
「い、樹くん!」
「ん?園田?どうした?」
「今日、一緒に帰れるかな?」
「あ~。ゴメン。約束してて。」
「そっ、そっかぁ~。じゃあ、せめてコレ。」
その子が樹に渡したのは、封筒。
も、もしかしてあれは、ラブレター?