ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢
「これって。サンキュ。」
「じゃ、じゃあ。あたしは、これで!!バイバイ!樹くん!」
女の子が走り去った後、スマホをいじり始める樹。
ラブレターを片手に持ちながら。
今の子、かわいかったな。
樹は、いま何を考えているんだろう。
行ってもいいのかな。
あたしは、息を吸い込み覚悟を決めて下駄箱へ進んだ。
「い、樹。お待たせ。」
「ん?おーー。」
「靴、とってくるね。」
あたしのクラスは、B組。
そして、樹のクラスはD組。
だから、靴箱の場所も離れている。
樹が向こうへ行ったのを確認して、ため息をつく。
樹は、本当はあの子と帰りたかったんじゃないのかな。
ただ、先に約束したのがあたしだったから断っただけで、本当は・・・。
靴を履き生徒玄関から出る。
振り返ると、靴を履いている途中の樹の姿。
あたしは、ただ幼馴染だから誘ってくれただけ。
樹は、別にあたしのことなんかなんとも思ってない。
そう思うとなぜか泣きたい気持ちになった。