ひとりかくれんぼ~ここから始まった悪夢


「これって。サンキュ。」


「じゃ、じゃあ。あたしは、これで!!バイバイ!樹くん!」


女の子が走り去った後、スマホをいじり始める樹。


ラブレターを片手に持ちながら。


今の子、かわいかったな。


樹は、いま何を考えているんだろう。


行ってもいいのかな。


あたしは、息を吸い込み覚悟を決めて下駄箱へ進んだ。



「い、樹。お待たせ。」


「ん?おーー。」


「靴、とってくるね。」


あたしのクラスは、B組。


そして、樹のクラスはD組。

だから、靴箱の場所も離れている。


樹が向こうへ行ったのを確認して、ため息をつく。


樹は、本当はあの子と帰りたかったんじゃないのかな。


ただ、先に約束したのがあたしだったから断っただけで、本当は・・・。


靴を履き生徒玄関から出る。

振り返ると、靴を履いている途中の樹の姿。


あたしは、ただ幼馴染だから誘ってくれただけ。

樹は、別にあたしのことなんかなんとも思ってない。


そう思うとなぜか泣きたい気持ちになった。


< 8 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop