Twins.
* * *
「はあ!? 店の手伝い?」
『そうなのよ、お客さん入っちゃってね。圭介もアシスタントくらいできるでしょ?』
放課後。
帰りのHRが終わってすぐに母からの電話が入った。
「んなもん涼介に頼め!」
『涼介よりもあんたのほうが向いてるのよ。
あと帰ってきてくれたらお菓子あげるから』
「おれは何歳児だ!? はいはい、ただ今帰りますよーだ」
半ば強引に通話終了を押して、ため息をつく。
美容室の接客ほど今のおれに疲れる仕事はないのだ。
おれは将来美容師になんて絶対ならない。
「……なんか忘れてるような?」
まあいいか。
昔から物忘れはいいほうだけど、それでも忘れてることはたいしたことじゃない。