Twins.
2
母親は美容室を経営していて、
父親は有名な化粧品会社で働いている。
そんな美容一家のおれの家。
小さいころにおれと涼介が目指した夢も美容関係だった。
――――なんてね。
「ただいま~」
カランカラン、と美容院の自動ドアが音を立てる。
たしかにいつもよりはお客さんが入っていたけど、個人営業だからそこまで大人数じゃない。
「よし。はいよチョコレート」
「…………」
手渡されたのは、一口チョコレートひとつ。
「って! おれは一口チョコレートのために帰って来たのか……」
「こらこら、あんまり店で騒ぐんじゃないの」
たしかにどうせ夜になれば家に帰るんだから別に構わないけど。
バイト代がチョコレート……。
「はあ……」
「はいはい、そんじゃアシスタントよろしくネ」
そういうとお客さんのところへ行ってしまった。