嘘ツキナ、恋ヲスル
「葉月ちゃん♪明日デートしない?もうすぐ夏だし服とか買いに!」
放課後、誰も居なくなった教室で、陽菜が駆け寄ってきた。
陽菜が私を"葉月ちゃん"なんて呼ぶ時はロクな事がない。
「陽菜…私合コンとか絶対行かないからね?」
「え〜!なんで分かったのぉ?はづって本当に勘鋭いぃ!いいぢゃんたまには!ね?」
陽菜は甘え上手。この上目使いに私はいつも負けちゃう。
クリックリの二重、長いまつ毛にさらにマスカラをのせてお人形サンかと思う羨ましい顔立ち。
でも…
「合コンだけは絶っっ対嫌!私には昂君が居るし!」
「話かけたことすらないくせに…」
勢い良く陽菜に向かって言ったはずなのに、目の前にはクールな顔をした鳴海が座っていた。
鳴海はボソッと低い声でズキンとくる言葉を発した。
「何?お前らまた男の話?飽きないねぇ女は、愛だの恋だの。」
大地が教室に入ってきた。
日に焼けた肌に茶髪、その上陽気な性格ときたら、チャラチャラした男に見られても仕方ない大地。
「うるさい!恋も知らないサッカーバカ!」
そんな大地に陽菜が噛みつく。