嘘ツキナ、恋ヲスル
今にも泣きそうな陽菜を連れて、サッカー部の部室前に向かう。
「陽菜…やっぱりやめとく?」
「ううん…なんで陽菜ぢゃダメなのかきちんと理由が知りたいもん!」
陽菜が涙を拭いてキッと部室の方を見た瞬間だった。
「ぶざけんな!!」
部室から怒鳴り声…。
りっ君…?
「うるせぇな!だからお前の事は関係ねぇよ!」
大地?
「嘘つけ!俺が陽菜を好きだって知ってて遠慮したんだろ?!」
「違うっつってんだろっ?俺は陽菜の事本当に友達としか見れなくて…っ」
部室のドアが開いて大地が出てきた。
そして私達を視界に入れると…表情が固まった。
「陽…菜」
その情景は、私の目からはスローモーションに見えた。
りっ君が部室から飛び出してきて…陽菜を見つめる。
「どぉゆう事…?」
「ごめん陽菜…二人が付き合った次の日に俺、知らなくて大地に言ったんだ…"陽菜が好きだ"って。だからコイツ俺に遠慮して…」
「違う!違うんだ…本当に…ごめん陽菜。俺…」
陽菜の肩が震えて、私は陽菜の手をギュッと握り締めた。