嘘ツキナ、恋ヲスル
「ごめん…こんな事言いたくなかった。鳴海…悪い。嫌な思いさせたな…。」
「いや…あの。」
鳴海がうつ向く。
悪い?
どうして?
何が?
私は恐る恐る何故か挙手をした。
「あの…昂君が私の気持ちを利用したのは私、ショックだしムカツキました。」
昂君が申し訳なさそうに頭を下げる。
「ごめん…葉月ちゃん。」
「でもね、好きになるのに男も女も関係ないんぢゃない?悪い事なんてないよ?」
「葉月…」
鳴海が私の腕を強く握った。
そして。
「昂君…俺、昂君の事尊敬してます。練習熱心だし後輩思いでおもしろくて。」
「鳴海…俺は…」
「気持ちは…ありがとうございます。俺にとって、昂君は…大事な…先輩です。それ以下でも以上でもないです。」
普段無口な鳴海が一生懸命話す。
昂君を傷つけない様に、でも余計な期待を持たせない様に。
最後の一言で昂君は視線を上げた。