嘘ツキナ、恋ヲスル
「まぁ昂君の件で…お前がもし恋愛嫌いになったら…俺が責任取ってやるよ。」
何、そのやっつけな言い方。
そんなんだったら…
「そんなのいらない。」
「あっそ。」
ギュッと握られていた手が、今度は離れようとしてる。
しゃがんだままの鳴海の手が、少しづつずり落ちて行く。
それは、スローモーションの様に感じた。
離したらいけない気がしたのに…
一番長い鳴海の中指が離れても…
私は、落ちるそれを掴む事はできなかった。
「帰るぞ。」
ねぇ鳴海。
"特別"って何?
私の事…
「うん。」
鳴海は部活を休んで私を家まで送ってくれた。
「ぢゃーな。」
「バイバイ」
家に着くまでで交した唯一の会話がこれ。