嘘ツキナ、恋ヲスル
私はとっさに鳴海の腕を押し退けて、窓際から離れた勢いで机にぶつかった。
「は…。何ビビってんの?何もしねぇよお前なんかに。」
私がぶつかったのは鳴海の机で、鳴海の鞄は床に落ちてしまっていた。
「あはは。分かってるよ。鳴海の顔に虫止まってたんだもん。それだけ。」
たぶん私の顔はこわばってたはず。
気まずい沈黙。
ピリリリ―
鳴海の携帯が鳴った。
「俺もう行くわ。お前も暗くなる前に帰れよな。ガキが遅くまでフラつくなよ。」
鳴海は鞄を拾って私を見た。
「自分だって!フラフラ遊んでんぢゃん…!ぢゃあね!」
いつも通りの無表情のまま、鳴海は教室から出て行った。
ビックリした。
鳴海の目が、あの時と同じ目をしてたから…
ズキン―
机にぶつけたトコが少し痛い。
痛いのは本当にそこなのかな?