嘘ツキナ、恋ヲスル
中学3年の夏。その頃すでに私達のいつもの放課後は始まってた。
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ガラッ―
「あれ??みんなは?」
集合場所の教室には鳴海が一人居るだけだった。
「陽菜はデート。陸は知らねぇ、大地は職員室に…」
「また呼び出し?」
「ああ。」
「そっかぁ。ぢゃあ当分帰って来ないね。ウチらも帰ろっか?」
「…」
昼間は蒸し風呂みたいに暑かったのに、夕方になった今ではもう、涼しい風が窓から教室に入ってきてた。
「鳴海?」
「ん?あぁ、ごめん何?」
考えてみれば、鳴海と二人で話す機会なんて今までなかったかも。
「何でもない。鳴海は高校どうすんの?頭イィから進学校?」
せっかくだから鳴海とゆっくり話がしたくなった。
「俺は…」
するとまた風が吹いて私の髪が少し乱れた。
鳴海はその乱れた私の髪にそっと触れた。
ドキッとした。
鳴海はすごく綺麗な顔をしてるから。でも、またいつもみたいにからかわれてると思ったから、振り払わないでじっとしてみた。
「嫌がんねぇの?」
「え?」