憑代の柩
 私はテーブルに手をつくと、後ろに反るようにして、ソファに背を預けた。

「そうですね。

 このまま、腹を探り合ってても鬱陶しいだけですよね。

 じゃあ、こうしましょうか。

 私もいろいろ知りたいことがあるんで、事情を話しますから。

 貴方も知ってること、全部しゃべってください」

 そこで、流行は、ちょっと待ってください、と手を上げる。

「あのー、それ、知っても殺されないですかね?」

 私は小首を傾げ、

「さあ?

 その場合、殺すの、私じゃないんで」
とだけ答えた。

 どうやら、話す気が失せたらしい。

「でも、もう話したも同然ですよ。

 此処でこうしているだけで。

 っていうか、既に、御剣には筒抜けなんじゃないかと思いますけどね」
と特に不審な人物も居ない窓の外を見る。

 流行は、あああ、と頭を抱えた。
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