憑代の柩
 何か教師に叱られた子どものようだ、と思いながら、

「それが本当なら、貴方が犯人かもしれない。

 馨さんが貴方を振り向かなかったので、殺した。

 要先生は、貴方が犯人かもしれないと思って、私の顔を変えるように提案されたとか?」
と訊いた。

「僕が犯人はありえない。

 だったら、あづさを身近に置いたりはしない。

 自分が殺した女の顔だろう?」

「でも、貴方が好きだった人の顔ですよね」

「だからって、別人を側に置いて、どうするんだ。

 要はどう思ってたか知らないが、僕はあづさには、指一本触れてない」

「……それもどうなんですかね」

 結婚したら、どうするつもりだったのだろうと思う。
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