憑代の柩

 


 ベッドに相手を突き倒し、馬乗りになった。

 その白く細い首に手をかける。

 まるで誂(あつら)えたように指がぴたりと嵌った。

 相手の大きな瞳が驚愕に更に見開かれる。

 目を閉じた。

 何も見ない。

 何も聞こえない。

 強く強く指に力を籠める。

 弾力の弱くなり始めている肌に、吸い込まれるような指先に、自分の心も身体もこの瞬間を待っていたのだと知った。

「や……、やめ……」





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