憑代の柩
「いえ。
 貴女はどう思われるんですか?」

「あづさは十八日の前撮りの日に何かやるつもりだったんじゃないでしょうか」

「何かって……」
と言いながら、本田は落ち着かなくなる。

 その瞳を見つめた。

「何か――
 知ってますよね、本田さん」

「知ってるとか、そういうのじゃないですけど。

 あの前の日、あづさの様子がおかしくて」

「マリッジブルーとかじゃなくて?」

「結婚が決まってから、あづさはずっとブルーでしたよ。

 でも、あの日は特におかしかった」
と言う。

 それ以上のことを言うのは、此処では憚られる感じだった。

「僕の高校のときの友人が消防士をやってるんです。

 あの教会にも駆けつけたようです」

 そんなことを本田は言い出した。

「今なら、時間があると言うので、話を聞いてこようかと思ってます」

「そうですか……」
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